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あなたに意識を、あなたに気づきを

「THE LAST OF US PART II」クリア後感想

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賛否分かれるストーリー

初めてPART IIのトレーラーが公開された時、ジョエルが、エリーが!と喜びに打ち震えた多くのファンが望んでいたものは残念ながら今作では描かれることは無かったと思う。前作が好きで好きで堪らない人はある程度覚悟を持ってプレイして欲しいし、プレイ開始から早々に訪れる残酷かつ衝撃の展開の連続についていけないのであれば、そこで一旦プレイをやめても良いと思う。自分はそこで抱いた違和感やモヤモヤはエンディングまで消えることは無かった。

改めて自分は他のキャラとか世界がどうとか知ったこっちゃなく、「エリーとジョエル」のお話を求めてたんだなと。善人だ悪人だとか、他からの視点とかどうでもいい。美しくも残酷な世界で逞しく生きていく二人の話がもっと見たかった。

前作でジョエルがエリーに対してついた嘘とそれによる確執とか、関係性がより深まっていく段階が見たかったのに、基本的に二人の話は回想で簡素に済まされてしまっているのが非常に残念だった。最初に結果を見てしまっている以上、どんなに頑張ってもなあ…という思いにもなるし、ジョエルがくれたギターについても思い入れることが出来ない。ジョエルとの絆による演奏なのか、はたまた精神を落ち着かせる為の演奏なのか、何だかよくわからなかった。

復讐の連鎖や暴力といった内容は、はたして本当にラストオブアスの世界で描かなければならなかったことなんだろうか。別に他の作品でも良かったんじゃないか。物語として必要なのであれば仕方ないが、どうも描きたいことと描かなければいけないことがごっちゃになってる感が否めない。主張に物語を巻き込んではいないだろうか。

キャラクターについて

前作でプレイヤーがメインで操作していた「ジョエル」は酸いも甘いも噛み分けた人間であり、躊躇いなく人の命を奪うことに違和感は無かったが、本作で操作する「エリー」はまだ未熟な子供だ。今作道中の会話で「初めて人の命を奪ったのは何歳の時?」なんて会話が繰り広げられるように、この世界で人の命を奪うことなんか「ごく普通」のことなのかもしれないが、そんな普通を背負わせるにはまだエリーは幼な過ぎる気がして非常に違和感がある。

道中の心理描写を見ていても、この世界で復讐を描く時に適切なキャラクターがたまたまエリーだったという感じで、便利に使われている感が否めない。エリーというキャラクターにとって、本当にこの展開は必要だったんだろうか。彼女にとって復讐が必要だと感じさせたいのであれば、徐々に人の心を失い復讐の鬼とい化すような描写がもっと必要だったのではと思う。プレイ時間稼ぎとも思われかねない移動を多くするのでは無く、嫌というほどでも良いので心境の変化等に焦点を当てて描写するべきだったんじゃないか。肝心なところが暗転カットや数年後で済まされているのは本当に残念だった。自らの意思で復讐やってますという感じではなく、操り人形のように復讐やらされてますと感じるのは自分だけだろうか。

反面今作から登場する「アビー」は、明確に復讐するという目的や意思があり、その鍛え上げられた肉体や妥協の無い命に対する線引から「自らの意思で復讐をやり遂げる」ということを感じるので、その一貫さに非常に好感が持てる。実際やり遂げた後はそれ以上場を荒らさず誰も傷つけることは無い。パート3が出ることがあれば、恐らく主人公はこの子だろうなとも思う。ただ彼女も自らの行動による代償を払わされているというよりは、物語の都合上巻き込まれてる感が否めない。こんなに辛い目に遭わせる必要があったんだろうか。